Vol.4 満場一致は無効
2010年3月 5日
特定非営利活動法人 NPO高知市民会議
理事 山﨑 水紀夫
(高知県ボランティア・NPOセンター副委員長)
NPOの特徴をあらわすものとして、NPOは上下組織ではなく水平な組織といわれる。組織運営では、2つのしじ(指示・支持)が必要といわれるし、意思決定もトップダウンではなく、合意形成の過程が重要視される。
ところが、この合意形成を全員が賛成することと勘違いしているのでは、という場面によくでくわす。あるNPO代表の方が「私たちの組織では全員が賛成することしかやらない」という意見を聞いた時は「?」が30個ほど頭を駆けめぐり混乱した。決議は、満場一致で採択されることが理想のような風潮があるが、皆さんはどう思うだろうか?
「満場一致は無効」とは某国の格言。この言葉には、物事には多様な見方や考え方があるのが当たり前で、反対がでないのは、洗脳されているか、意見をいえない雰囲気をつくりだしているか、のどちらかで、そんな決議に価値はないという意味が込められている。
そうした視点でみると、国家でも団体でも支持率100%なんてところは「独裁・恐怖・カルト」といったキーワードが頭をよぎる。合意形成とは、違いを認め合うことから始まり、その中から共通項を見出し、互いに歩み寄っていくものだと思う。また、議論を尽くしても結果的に合意を得られないことも当然あるという考えが必要で、満場一致へのこだわりは、違う意見の封じ込めや反対する権利を奪う、ある意味での暴力にもなりかねない。
議論の場の設定と議論の中身が重要であって、満場一致という結論にこだわる必要はないと思う。また、反対する側も反対をしても決議には従うという姿勢が必要だ。それを踏まえて大いに議論するのがNPOの健全度や市民参画度にもつながると思う。
活発な議論は大いに結構だが、議論には時限性とメリハリも重要。時間無制限というのはダラダラ議論に陥りやすいし、「議論の過程(かてい)重視で、家庭(かてい)軽視」「社会のしあわせ(幸せ)、家庭にしわよせ(しわ寄せ)」とならないように、なにごとも程々が重要であることもお忘れなく。と自分に言い聞かせつつ今日も会議に臨んでいる。